めーぷるのおもちゃばこ

- アイドルになりたいエンジニア女子の制作日記 -

【Unity】テクスチャ情報から頂点を変形するShaderを書く

   

はじめに

テクスチャを読み込んでその情報から頂点座標をいじるシェーダーについて書きます。
頂点テクスチャフェッチという手法を使用します。


以下サンプルプロジェクトです。
サンプルプロジェクトにはフラグメントシェーダーのコードとサーフェスシェーダーでのコード両方入れてます。
今回はフラグメントシェーダーで説明しますが、サーフェスシェーダーも同じです!
github.com

  
  

頂点テクスチャフェッチとは

頂点テクスチャフェッチとは、頂点シェーダー内でテクスチャを参照する手法のことをいいます。
普通はテクスチャは画像として使用するのでフラグメントシェーダーで参照されます。
しかし、テクスチャは色以外の用途としても情報を格納することができます。
どういうことかというと、テクスチャと聞くと画像のイメージが強いですが、RGBAはただのfloat4つぶんの要素であり、テクスチャはそうしたfloat4つぶんのデータをただ格納しているだけです。
なので、そのデータを色以外の用途に使用することもできるわけです。
そのデータを頂点シェーダーで参照し、使用することを頂点テクスチャフェッチといいます。


頂点テクスチャフェッチの細かい内容については以下のサイトにとても詳しく書いてあるので、詳しくは以下をご覧ください!
wgld.org

  

今回つくるもの

今回はパーリンノイズのテクスチャをセットしてそのテクスチャ情報から頂点座標をイジります。

f:id:maplesyrup-cs6:20200802220027p:plain
このようなものをつくるよ

 
パーリンノイズのテクスチャは、フォトショップで フィルター>描画>雲模様2を白黒にして明るさとコントラストを変更することでつくれます。
こちらどうぞ使ってください↓↓

f:id:maplesyrup-cs6:20200803013502p:plain
パーリンノイズ

   

コードを書く

Unityのプロジェクトウィンドウから、Create > Shader > Unlit Shader で Shaderを作成します。以下のコードを記述します。
  

Shader "Custom/vtfSample_Fragment"
{
    Properties
    {
        _MainTex ("Texture", 2D) = "white" {}
        _Tex2Dlod("Tex2DlodSample", 2D) = "white"{}
        _Scale("Scale", range(0, 10)) = 5
    }
    SubShader
    {
        Tags { "RenderType"="Opaque" }
        LOD 100
        Cull off

        Pass
        {
            CGPROGRAM
            #pragma vertex vert
            #pragma fragment frag
            // make fog work
            #pragma multi_compile_fog

            #include "UnityCG.cginc"

            struct appdata
            {
                float4 vertex : POSITION;
                float2 uv : TEXCOORD0;
                float2 texcoord : TEXCOORD1;
            };

            struct v2f
            {
                float2 uv : TEXCOORD0;
                float2 texcoord : TEXCOORD1;
                UNITY_FOG_COORDS(1)
                float4 vertex : SV_POSITION;
            };

            sampler2D _MainTex;
            float4 _MainTex_ST;

            sampler2D _Tex2Dlod;
            float4 _Tex2Dlod_ST;

            half _Scale;

            v2f vert (appdata v)
            {
                v2f o;

                float d = tex2Dlod(_Tex2Dlod, float4(v.texcoord.xy, 0, 0)).r;
                v.vertex.y += d * _Scale;
                o.vertex = UnityObjectToClipPos(v.vertex);
                o.uv = TRANSFORM_TEX(v.uv, _MainTex);
                UNITY_TRANSFER_FOG(o,o.vertex);
                return o;
            }

            fixed4 frag (v2f i) : SV_Target
            {
                // sample the texture
                fixed4 col = tex2D(_MainTex, i.uv);
                // apply fog
                UNITY_APPLY_FOG(i.fogCoord, col);
                return col;
            }
            ENDCG
        }
    }
}

  
コードを記述したら、マテリアル にこちらのシェーダーを適用し、
プレーンにマテリアルをセットします。

f:id:maplesyrup-cs6:20200802215954p:plain
テクスチャをセット

  

すると、以下のような感じで頂点たちがでこぼこします。

f:id:maplesyrup-cs6:20200802220027p:plain
テクスチャの情報に合わせて頂点たちがでこぼこ

   
   

コードの解説

重要なのはvert関数の中のここです。

float d = tex2Dlod(_Tex2Dlod, float4(v.texcoord.xy, 0, 0)).r;
v.vertex.y += d * _Scale;

  
バーテックスシェーダー内でテクスチャを参照する場合はtex2D代わりにtex2Dlodを使用します。

tex2Dlod(テクスチャ、float4(U値, V値, 0, w値 = (値の指定0〜7))

  
です。なぜtex2Dlodを使用するかというと、以下の通りです。

これは テクスチャlodの値がdepth値(カメラからの距離)によって決定されるため depth値がvertexシェーダでメッシュのソートが解決されてPixelシェーダにデータが渡るときに計算が行われるので vertexシェーダ内ではlodの自動割り当てが出来なくなり 直接lod値を指定してあげる必要があるからです。
引用:UnityのシェーダーでVTF(vertex texture fetch) | ヤマヤタケシのブログ

  
tex2Dlodで取得した値を、v.vertex.yに入れることで頂点のy軸の位置を変更しています。_Scaleはインスペクタから変更できるようにし、この値を乗算して頂点の移動具合を調整しています。

v.vertex.y += d * _Scale;

値の調整をする

これで頂点座標をテクスチャ情報から制御できました。
ただ、いまのままだと、_Scaleの値を上げると全体的な頂点座標がどんどん上に上がってしまいます。

f:id:maplesyrup-cs6:20200803013025p:plain
元の位置から座標がだいぶ上がってしまう

  
何故こうなってしまうかというと、テクスチャの値はそもそも色として使用するために0から1の間の値しか格納されていないのです。マイナス値がありません。
つまりdが0から1の値になっているところにScaleを乗算しているのでさらに値はプラス側に大きくなり、全体的に上にずれていくというわけです。
なので、0から1になっているdの値を-1から1に変更します。

float d = tex2Dlod(_Tex2Dlod, float4(v.texcoord.xy, 0, 0)).r;
d = d * 2 -1;     //0から1になっているdの値を-1から1に変換
v.vertex.y += d * _Scale;

    
0から1になっているdの値に2を掛けて1を引くと-1から1になります。
なぜこれでそうなるかというと以下の通りです。

f:id:maplesyrup-cs6:20200803085356p:plain
0から1の値を−1から1に変換

  
  
   
これで、元の位置のまま頂点が動くようになりました。

f:id:maplesyrup-cs6:20200803021657g:plain
元の位置のまま頂点が動く


さいごに

以上でち🐼
これを使用することで、動かせば海の波のような凸凹感をつくれたり、地面の凸凹感を表現することができるかなとおもいます。